外資100%企業のダイベストメント義務抹消手続きについて


調査部会ではこのたび、BKPMへの照会作業を通じて、「外資100%企業のダイベストメント義務抹消手続き」に関する大変重要な情報を入手いたしましたので会員企業の皆さまに下記のとおりご連絡いたします。
(記)
旧投資法において外資100%企業に課せられている一部株式の地場法人/個人への譲渡義務について、その抹消手続きに関する内規が存在する可能性が出てきた。 基本的には抹消可能ではあるが、合弁ステータスから外資100%に移行すると同時に、ダイベストメント義務の抹消を希望する進出日系企業は、大統領令第111号の適用方針(解釈と運用)が確認されるまで、手続きを一時延期することが望ましい。

投資調整庁(BKPM)のユスワン次官がジャカルタ・ジャパン・クラブが主催した投資セミナー(2007年10月)で、「旧投資法(1994年政令20号)が外資100%企業に課した、操業開始後15年未満に一部株式の地場法人/個人に譲渡する義務(以下、ダイベストメント義務)の抹消を認める」ことを明らかにしたため、多くの日系企業は手続きの準備あるいは検討を始めている。

これまで手続きを明文化したものはなく、08年1月まではダイベストメント義務の抹消を希望することを書状で提出するだけで済んだ。しかし、2月以降、株主合意書を添付するよう指導が始まり、運用面で変更が生じている。 3月には、BKPMがダイベストメント義務抹消を希望するある進出日系企業に対して「Implementation of Divesting Obligation」と題する書簡を送付した。

このため、ダイベストメント義務抹消に関する手続きが内規として定められている可能性が出てきた。
その書簡の内容は次のとおり。

(1)94年政令20号に規定されたダイベストメント義務は有効である。
(2)この義務が抹消されるためには、操業開始後15年目までに一部株式を譲渡する努力を払うこと(例えば、メディアを通じた呼びかけなどを行う)、さらにダイベストメント義務の抹消申請企業の事業分野が投資ネガティブリスト(大統領令第111号)の規制分野に該当しない(つまりが外資に100%開放されている)ことが条件になる。

また、ダイベストメント義務の抹消手続きの担当者は、ユスワン次官から投資サービス担当副長官(Deputy Chairman for Investment Services )のアフマド・クルニアディ氏(Mr.Achmad Kurniadi)に変更されたという。
この書簡の内容で疑問となるのは、既存企業に適用しないとされた新投資ネガティブリスト(大統領令第111号/2008年)が、ダイベストメント義務抹消手続きでは適用されるという点である。大統領令第111号第5条には、同令発効以前に認可を受けた投資は、

「事業分野」に変更がない限り、同令は適用されないと規定されている(つまり、出資比率変更、出資者変更に際して大統領令第111号は適用されないはずである)。 また、過去に外資100%で参入可能だった事業分野が大統領令第111号で規制分野に含まれたケースもあるので、ダイベストメント義務の抹消を検討する進出日系企業から、上記規定(2)の運用に対する懸念が出ることが予想される。  そこで、ジェトロは国際協力機構(JICA)からBKPMに派遣されているアドバイザーとともに、本書簡を作成した担当者と面談し、上記規定(2)の運用上の解釈を確認した。
それによると、 a. 大統領令第111号発効以前に外資100%が認可された企業は該当しない(つまり、大統領令第111号で新たに規制分野に定められた業種でもダイベストメント義務抹消の申請はできる) b. 本規定が意図したのは、外資の出資比率が100%に満たない合弁企業が、今後、地場出資側の資本売却で外資の出資比率が100%になるケースで、事業分野が大統領令第111号の出資上限規制に該当する企業は、外資100%への移行は認可されない。従って、こうした企業にダイベストメント義務が課されることはなく、当該義務解除の手続きの対象にはならないとの説明だった。

しかし、08年3月に明らかにされた「Implementation of Divesting Obligation」には、当該担当者の説明にある運用上の解釈が明記されていないため、(当該担当者と合意の上)JICA派遣アドバイザーからBKPMの関係者に対して質問状を提出し、運用上の解釈の明文化を計る手続きを踏むことにした。 書面による正式な確認作業は残されているものの、これまでに確認された結果を整理すると、大統領令第111号発効以前に外資100%を認可された企業は、これまでどおりダイベストメント義務の抹消を申請することができる。
ただし、これまでのBKPMとの協議を踏まえると、例外的に、運輸、製薬などセンシティブな分野に関しては認可が下りない可能性がある。  今後、BKPMに対して疑問点を明確にするよう求めていく予定だが、合弁ステータスから外資100%に移行すると同時に、ダイベストメント義務の抹消を希望する進出日系企業は、大統領令第111号の適用方針(解釈と運用)が確認されるまで、手続きを一時延期することが望ましい。

なお、本メール内容は近々、JJCホームページにも掲載いたしますので、万が一、貴社のPC環境等により添付ファイルを開くことができない場合はJJCホームページでご確認いただければと存じます。

本件についてのお問合せ先:

ジェトロ・ジャカルタ・センター 塚田

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